魂柱


12月に入りました。

今年もあと1ヶ月を切ってしまうなんて、1年が本当に早くなってしまいました。汗

 

大掃除はまだ先かもしれませんが、楽器やケースもお掃除して新年を迎えたいですね。

長年に渡って付いた汚れ(松脂・汗など)は、クロスで拭いただけではなかなか取れないものです。

無理に擦ってニスを傷つけたり割ってしまったりする可能性もありますので、楽器の大掃除はお店への持ち込みが安心です。

当フェルマータ工房でもクリーニングは出来ますので、是非皆さんのお越しをお待ちしております。

 

 

 

さて、今回の工房だより11回目は、タイトルにもある通り「魂柱」についてです。

 

皆さんは、楽器の音を変えたい時に何をしますか?

 

多分、一番多いと思われるのは“弦を違う銘柄に替える”だと思います。

もちろんそれでも音は変わりますが、魂柱を調整するのも非常に効果的で有効な手段なのです。

 

弦は4本で5,000〜15,000円ほどしますよね。

でも弊社の場合、ヴァイオリンの魂柱調整は2,500円(税抜)から行えます。

もし交換になったとしても5,500円(同)です。

 

よく言われますが、魂の柱と書いて「魂柱」とあるように、魂柱は本当に重要なパーツなんです。

TV番組などでも、コンッと軽く叩いただけで音が大きく変わる描写がありますよね。

実際に私も魂柱の位置調整(整音)していて、0.2mm動いただけでも音のキャラクターがここまで変わるのか!と驚くことがあります。

 

ただ、全ての魂柱がそうだとは言えません。

 

この整音で魂柱がちゃんと返事をしてくれるのは、魂柱の長さが魂柱の所定位置に対して適切にセッティングされているときだけと言ってもいいでしょう。

本来、魂柱は弦を全て外してしまっても、倒れることはありません。

もし、何らかの理由で弦を全て外す必要があって(駒も一緒に倒れてしまいますが)、そのときに魂柱が倒れてしまったのであれば、魂柱の長さが足りていないと言えます。

 

滅多にそんな機会はないので、自分の楽器の魂柱が適切な長さに切り出されているかを知りたいときは、工房を訪ねてみてくださいね。

「新作の手工品楽器で、製作者がセットした魂柱だから大丈夫」というのも安心はできません。

新作楽器の場合は最初の半年〜1年で楽器が変形します。

歪むということではありませんが、経験上、新作楽器で数年経った楽器は、ボディの変形することで魂柱の位置や長さは変わらなくとも、相対的な意味での長さが短くなっているものが多く見られます。

 

オリジナルの魂柱で弾きたい気持ちも理解できます。

でも、振動を伝えるために重要な役割を果たしている魂柱が、短いためにその振動を伝えられないまま楽器の成長に資するのはもったいないなぁと思いませんか?

 

 

更に続けるのであれば、夏と冬ではボディの膨らみ方も変わってくるんです。

湿気が多ければ膨らみますし、乾燥すると縮みます。

夏に楽器の音が何となく眠く・曇ったような感じになることはありませんか?

これはそのボディが膨張したことで、魂柱の長さが足りなくなったことが原因である場合が多いです。

ちゃんと振動を楽器(全体)に伝えられていないことなんですね。

 

つまり、乾燥してきたこの時期に魂柱の長さが足りていないのは、致命的ともいえるのです。

適切な長さと位置の魂柱をセットして初めて、位置調整で音のキャラクターを詰めていくことが出来ます。

いくら位置調整をしても、スカスカの魂柱ではボディの鳴りに影響するくらいの変化を与えられないのはお分かりになりますよね。

 

ヴァイオリンの場合は交換前後で0.5〜1mmほど、チェロになると前後で5mmも長い魂柱の交換になった経験もあります。

もちろん長すぎる魂柱も問題です。

位置調整や交換は、専門の職人がいる工房でお願いしてくださいね。

 

交換後は、出来ればその場で試奏をしながら、更に突っ込んだ位置調整をしてもらい、自分の納得のいくキャラクターの音に仕上げてもらいたいものです。

 

 

長い文章になってしまいましたが、それくらい重要な場所であることが伝わったのなら嬉しいです。

職人うちでは魂柱の話だけで何時間も語れるほど奥深いパーツなんですよ。

 

 

そんなわけで、ここ最近交換や新調が多かった魂柱の写真を載せて、工房だより11回目を終了させていただきます。

次回の更新もお楽しみに!

 

 

 

 

 

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