お久しぶりです!工房だより6回目ですね。

梅雨明けと共に、いよいよ暑い夏がやってきました。

熱中症にはご用心です。

 

さて、今日はもの言わぬパーツ「ナット」についてお話させていただこうと思います。

時間が空いたので、その分今日はボリュームたっぷりです、ごめんなさい。。。

 

 

では、まずナットは何なのかをお伝えしておきましょう。

ナットは指板とペグボックスの間にあるパーツで、枕のように弦をのせている部位です。

写真でお見せすると、こんな感じ。

 

 

 

さて、この写真をよぉ〜く見てみてください。

お気づきの方もいると思いますが、A線の巻き線(表面をぐるぐる巻いている線)が寄ってしまい、隙間があいているのがお分かりになりますでしょうか?

 

これは、ナットの溝とA線の径(太さ)が合っていないことが主な原因として挙げられます。

更にじっくりと写真を見ていただきたいのですが、A線の溝は向かって左側斜め上に進んでいるように見えませんか?

他の溝も同様に、D線は弦の直径よりも幅の広い溝が、こちらは斜め右上に進んでいますし、G線の溝も広く削られているのが確認できると思います。G線はスチール弦代用なのでナイロン弦だとちょうど良くなるかもしれませんけれど。

本来は、それぞれのペグへと滑らかに弦が進んでいくように溝が切られているのが理想です。

 

 

写真のような感じで、ナットの溝がしっかりと調整されていないと断線の原因になってしまいます。

この状態で調弦をすると、弦はこの滑らかでない溝の中を行ったり来たりすることになり、やがて巻き線がほつれ、切れてしまいます。

ナットは黒檀(エボニー)という堅い木を使っていますが、弦は金属で覆われているので、ある意味のこぎりが木を切るように、段々と溝を深くしてしまうのです。

写真のようにほつれた弦では、のこぎり効果は増しますので、溝がどんどん深くなっていくことになります。

滑りを良くするために、鉛筆で優しく溝をなぞってから弦交換をしたいですね。

 

 

溝が深くなると余計に弦への負荷がかかることになり、新品の弦を張ったのにすぐ切れる、ということが繰り返し起きるようになります。

今までは何ともなかったのに、張って直ぐに新品の弦が切れた場合は、一度まず自分でナットの溝をよく観察してみると良いと思います。

今まではそんなに深くなかった溝が、のこぎり効果でいよいよ深くなってしまったのかもしれません。

弦の切れた場所がナットやペグボックス周辺の場合は、ナットを疑ってみましょう。

 

 

もし、溝が深いとか変な方向に進んでいるのが認められた場合は、お近くのお店や工房へ持ち込んで詳しく点検をしてもらうと良いでしょう。

毛替えへ訪れた際に、よく「一緒に楽器も見ておきますね!」という声を聞いたりしますが、なかなかナットまでしっかりとチェックしてくれるところは少ないように感じます(あくまで主観です)。

弓を受け取るときに「楽器は問題ありませんでしたよ」の声を鵜呑みにせず、もし可能であれば「ナットの溝は問題ありませんか?」と聞き返してみるのも良いかもしれませんね。

 

 

さて、先程の楽器のナット交換をした写真が下の写真です。

 

 

ここから仕上げの磨きと微調整をするのですが、いかがでしょう、弦の両サイドに溝は広がっていませんし、弦も滑らかにペグボックスへ入り込んでいるのがお分かりいただけると思います。

 

ナットは、本当に何も言ってくれないパーツです。

駒のように指板側へ倒れてくることもありませんし、ペグのように固くなったり緩くなって戻ってしまったりしてくれません。

ただずっとそこにいて、弦の末端を静かに支えてくれているところなんですね。

でも、溝が深いとか斜めに入っているなど、正しく調整されていないのを、ナット本人はなかなか訴えてくれません。

訴えてくれるのは、弦が切れたときなのかもしれませんね。

 

人間でいうと肝臓や膵臓のようなところとも言えそうです。

でも、これらの臓器とは違って交換は簡単に行えます!

 

夏の演奏会シーズンや学校の試験時期だと思いますので、一度お近くのお店や工房へ点検へ出掛けてみてはいかがでしょう?

フェルマータ工房では、無料で点検を行っております。

ナット以外にも、心配な点やチェックしてほしい所がある場合は、お気軽にご来店ください!

 

 

ではまた次の工房だよりでお会いしましょう!

 

 

 

フェルマータ工房

TEL 0335577480

住所 練馬区栄町41-12

営業時間 10:00〜19:00

定休日 月曜日、第2・4日曜日

 

 

 

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